大塚家具が11月14日、2019年1~9月期の単独決算を発表しました。
状況が悪化している内容で、倒産の不安がささやかれています。
大塚家具が発表している情報を基に実際の状況を把握してみましょう。
大塚家具はいつ潰れる(いつ倒産してしまう)のでしょうか?
このままの状態が続くと、2019年11月から逆算すると現預金が底をつくのは半年前後。
つまり、倒産可能性があるのは2020年5~6月頃となります。
大塚家具の最近の業績は?
大塚家具の最近の業績を、大塚家具のホームページの業績ハイライトで確認してみました。
参照:http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/zaimu.html
2016年からは3年連続で赤字です。
2015年の社長交代を境にして、以降ずっと赤字が続いているのがわかります。
売上高 | 販売費及び一般管理費 | 当期純利益 | |
---|---|---|---|
2014年 | 555億 | 310億 | 4.7億 |
2015年 | 580億 | 303億 | 3.6億 |
2016年 | 463億 | 293億 | -45億 |
2017年 | 410億 | 260億 | -72億 |
2018年 | 374億 | 217億 | -32億 |
現預金(会社の持っているお金)はどのくらい
大塚家具の現預金を、大塚家具のホームページの有価証券報告書で確認してみました。
参照:http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/yuukashouken.html
当然ながら、業績と連動して2015年には100億あった現預金が約30億と半分以下まで激減していることがわかります。
年度 | 現預金額 |
---|---|
2014 | 115億 |
2015 | 109億 |
2016 | 38億 |
2017 | 18億 |
2018 | 31億 |
最新の決算短信による預金額は?
2018年の30億から21億へさらに10億円も減っています。
キャッシュフローについて
企業が現場で販売してその結果の収益である 19年1~6月期 の「営業キャッシュフロー」は厳しい状況にあり、その額は29億円のマイナスだった。6ヶ月で割って考えれば、毎月約5億円の現預金がマイナスとなっています。
状況が好転しない場合は、土地など資産の売却や金融機関からの借り入れといった営業活動以外の面で資金を工面できなければ、 2020年5~6月頃 には現預金がなくなり倒産の可能性が現実的になってきます。
大塚家具の対応策は
http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/r-1/r1-11-14.pdf
第3四半期決算短信にはこう書かれています。
当社は「上質な暮らし」を提供することを変わらぬミッションとし、高級品・中級品を主軸 とした豊富な品揃えのもと、お客様の気持ちに寄り添った接客をするビジネスモデルを継続しながら、経営環境・消費 者行動の変化に対応すべく、1)リアルからバーチャルへの領域拡大、2)BtoCからBtoBへの領域拡大、3)国内から海外への領域拡大に取り組んでいます。
http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/r-1/r1-11-14.pdf
詳細は以下の通りですが、いずの施策もすぐに結果がでるというものではないように思います。
リアルからバーチャルとは
2019年4月18日より公開されているバーチャルショールームです。
この技術は大塚家具が独自で開発したサービスではなく、業務提携先の株式会社ハイラインズ(以下ハイラインズ)が提供するシステムを用いたものであるそうです。
現在は、以下の3つのショールームをバーチャルで閲覧することが可能です。
BtoCからBtoBへ
2月に株式会社ヤマダ電機と業務提携に関する基本合意を締結し ました。同社が展開する「家電住まいる館」へ家具販売のノウハウ及び人的リソースの提供を行うこととし、3月下旬 からのトライアルの良好な結果を経て6月より取り組みを拡大、人的リソースを提供する店舗の拡大や当社商品の供給 等を開始しました。「インテリアリフォームYAMADA 前橋店」のリニューアルオープン(7月)では、コラボ店舗として売 り場づくりに関わるとともに、当社商品の本格供給を開始しました。さらに、9月からは法人分野での提携として、ホテルやオフィス等への家電・家具納入における協業を開始しました。また7月には、世界的庭園デザイナー・ランドスケープアーティストの石原和幸氏が代表を務める株式会社石原和幸デザイン研究所と業務提携に関して基本合意をしました。結婚式場やホテル等の法人をはじめとした、関連するそれぞれの顧客を相互に紹介するとともに、当社のコントラクト事業の内装・インテリアと石原和幸氏による緑化空間を一体として提供していきます。
http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/r-1/r1-11-14.pdf
要約すると、以下の通り
・ヤマダ電機と業務提携して商品の展開をしている
・ホテルやオフィス等へ家電家具納入の協業を開始
・庭園デザイナーと業務提携
国内から海外 へ
居然之家(Easyhome)との業務提携、さらに今年2月に発表した株式会社ハイラインズとの業務・資本提携契約の締結等を通じて中国市場への参入に向けた取り組みを開始しました。まず、阿里巴巴集団(アリババグループ)が運営する中国向け越境ECサイト「天猫国際」 (Tmall Global)へ出店、6月にはEasyhome主催の中国各地から家具の小売業者が来場する「北京国際家居展」へ出展し、 Easyhomeへ出店の際の店舗運営の委託先並びに百貨店等の販売先を募集し、当社の高級羽毛布団「ダウナ」をはじめとする寝具商品を販売する代理店契約を現地企業2社と締結しました。
http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/r-1/r1-11-14.pdf
要約すると、以下の通り
・ 居然之家(Easyhome)との業務提携
・ 株式会社ハイラインズとの業務・資本提携契約の締結等を通じて中国市場への参入に向けた取り組み
財務対策はないの?
(4)安定的な財務基盤の確立 当社は2019年3月に第三者割当による新株式の発行及び第1回新株予約権の発行を実施し、4月には第2回新株予約権の発行を行いました。新株式第三者割当による新株式発行により26億28百万円の払込がなされ、第1回及び 第2回新株予約権はすべての払込が完了しております。調達資金の有効な活用を行い、早期の営業黒字化を実現し、 安定的な財務基盤の確立を図ってまいります。 しかしながら、これらの対応策は実施途上にあることから、現時点においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。 なお、四半期財務諸表は継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響 を四半期財務諸表には反映しておりません。
http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/r-1/r1-11-14.pdf
新たな資金調達予定などの記載もなく、前述の施策の様子見をみながらといった対応で、もしこれらの施策で改善できなかったときはどうするかは不透明です。
まとめ
客観的に言えば、社長交代時のお家騒動によるブランドイメージの悪さに引きずられています。
販売している価格帯も決して安くはないので、 イメージの悪いものを進んで買いにはいきませんよね。
色々な策を講じていても結局そのイメージが払しょくされずに現場が頑張っていても持ち直せていない印象です。
端的に言えば社長交代(外部の方がよい)することで、一旦イメージを変えないと、お金が目減りして本当に倒産してしまうかもしれません。